最近の研究では、急性脳卒中が疑われる患者のCTスキャン解析にAI技術を用いることの臨床効果と費用対効果が評価されました。この研究はイギリスの国立医療技術評価研究所(NIHR)によって資金提供され、2024年3月に発表されました。
脳卒中は迅速かつ効果的な対応が求められる重大な病状です。AI技術を活用することで、CTスキャンの解釈が迅速化され、診断の精度が向上することが期待されています。この研究の目的は、AI技術を用いたCTスキャン解析の臨床的有効性と経済的価値を評価することです。
研究方法としては、2021年7月までのデータを25のデータベースから検索し、22の研究(30の出版物)をレビューに含めました。エラーとバイアスを最小限に抑える手法を使用し、新たに開発されたモデル(R Shiny使用)を用いて、AI支援によるCTスキャン解析の費用対効果を評価しました。
主な結果は以下の通りです。
- Rapid(iSchemaView):感度95.4%、特異度79.4%
- Viz LVO(Viz.ai):感度91.2%、特異度85.0%
- Brainomix:感度83.8%、特異度95.7%
- Avicenna CINA:感度98.1%、特異度98.2%
結論として、現在の証拠ではAI技術を用いたCTスキャン解析の臨床的有効性は明確ではありませんが、診断経路の感度を高めることで費用対効果が向上する可能性が示されています。今後の研究では、より大規模で多施設の臨床試験が必要です。
この研究は、AI技術を医療現場に導入するための重要なステップとなり、臨床医と研究者はこの技術の利点と限界を理解し、実際の診療にどのように活用できるかを探るべきです。